【1942年 ソロモン海戦】ガダルカナル島を巡る攻防。初の戦艦の喪失
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主要海戦・作戦
ソロモン諸島の戦い。数々の海戦が発生した。
ソロモン海戦
●概要
第一次(1942年8月)・第二次(42年8月)・第三次(42年11月)ソロモン海戦の総称。
ソロモン諸島での戦いの一つであり、ソロモン諸島ではその争奪を巡って数々の海戦が発生した。ソロモン海戦の他に、ガダルカナル島の攻防戦、サボ島沖、ルンガ沖、ブーゲンビル島沖、海戦などは大きな括りでは全て『ソロモン諸島の戦い』の一つ。
ソロモン諸島攻略の目的はアメリカとオーストラリアの間の交通を分断し、オーストラリアを孤立させ、休戦させるという構想(米豪遮断作戦)に基づく。
結果は局所的な勝利などはあったものの、日本軍の敗北。特にガ島での敗北・損失はミッドウェーと共に戦局悪化のターニングポイントであるとされる。
●内容
第一次ソロモン海戦
米軍優勢であったガダルカナル島に対して「殴りこみ作戦」が採用され、日本海軍得意の夜戦水雷戦を仕掛けた。
当作戦の要点は、
・第一目標は敵輸送船であること
・複雑な運動を避けて単縦陣による一航過の襲撃とする
・翌朝までに敵空母の攻撃圏外に避退すること(ミッドウェーの二の舞を避けるため)
・ソロモン列島間の中央航路を通ってガダルカナル泊地まで進出する
結果は、日本海軍が一方的な勝利を収め、その夜戦能力の高さを示した。
しかし、主目標であった米輸送船への攻撃を断念して帰投したため戦略的な勝利は得られなかった。
船団への攻撃が行われなかった理由は、
・アメリカ空母部隊による航空攻撃への恐れから
・海軍兵学校での伝統教育である海上決戦至上主義的心理が司令官の判断に与えた影響が大きかった(「艦隊決戦主義」を標方しており、輸送船破壊等の通商破壊活動を全く考慮しないという風土があった)
・当時の永野修身軍令部総長が第八艦隊司令長官三川中将に対して「無理な注文かもしれんが日本は工業力が少ないから、極力艦を毀(こわ)さないようにして貰いたい」という注意を与えていたことが早期退避の決定に影響を与えたという説
などなど、いくつか説はある。
日本軍ではミッドウェーの大敗北で士気が下がっていたところにこの大勝利があり大いに士気が上がったという。この作戦立案をした神重徳大佐は「作戦の神様」として祭り上げられることとなり、後々の彼の立てた無謀な作戦も比較的容易に採用されるようになる。
第二次ソロモン海戦
上述の通り第一次ソロモン海戦では日本軍は勝利。しかし日本軍も海軍陸戦隊を乗せた輸送船団が撃退され、ガダルカナル・ツラギ早期奪回は頓挫する。
さらに海軍航空隊は輸送船団数十隻を撃沈したと誤認戦果を報告し、日本軍上層部は米軍が撃退されたと信じてしまう。
これを受けて、日本軍は8月25日ごろまでにガダルカナル島を奪回することと決めた。
こうして生起した第二次ソロモン海戦は両軍の機動部隊が交戦となり、軽空母「龍驤」や輸送船を失い奪回作戦は中止。日本軍は敗北した。
第三次ソロモン海戦
ガダルカナル島のアメリカ軍優位は、特に同島への輸送作戦の障害となった。輸送船団はヘンダーソン飛行場から発進した米軍機によって阻止され撃退された。そこで日本軍のとった手段が駆逐艦による輸送作戦「鼠輸送」(連合軍側の呼称が東京急行)である。
しかし駆逐艦の輸送力は当然小さく、効果はあまりに限定的で、さらには米海軍の迎撃や米魚雷艇の活動によって駆逐艦の損害も増えた。
障害となるヘンダーソン飛行場への攻撃も「金剛」「榛名」に有名なように砲撃を行ったりもしていたのだが、一時的に使用不能にしたものの、飛行場の機能を奪うには至らず、逆に米軍の戦力は充実する一方だった。
ガダルカナル島の日本陸軍に補給物資を届けることがますます難しくなり、日本軍にとってガダルカナル島の戦局は悪化の一途を辿る。そこで日本海軍は、戦艦による艦砲射撃をふたたび実施して飛行場を破壊、同時に陸軍と大量の補給物資をガダルカナル島に強行輸送し、同島の米軍を圧倒するという決断を下した。
これを阻止せんとする米軍との3日間に渡る乱戦が第三次ソロモン海戦である。
戦艦同士が至近距離で撃ちあうという戦史に残る大乱戦となり、
探照灯を照らし開始15分足らずで犠牲となった「暁」
第一夜では「夕立」、第二夜では「綾波」などの名を有名にした海戦である。(各詳細は図鑑参照)
この戦いで第一夜では「比叡」、第二夜では「霧島」を失い、日本軍は当作戦を断念。第三次ソロモンの結果、ガダルカナル島での攻防はアメリカ軍の勝利が確定した。
アメリカ海軍大将(チェスター・ニミッツ)は、「ガダルカナルの奪還、およびそれに関連する重要な海戦に成功するか失敗するかは、勝利への道の分岐点である」と述べており、ミッドウェー海戦と同じく、第二次世界大戦の転換点となった。
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