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【1942年 ルンガ沖夜戦】田中少将による突撃命令。ドラム缶輸送中に起きた戦いの評価とは

公開日: : 主要海戦・作戦

1942年代は今回で最後。次回からは1943年代へ。

ルンガ沖夜戦

ルンガ沖夜戦

 

●概要

1942年(昭和17年)11月30日、ガダルカナル島への「鼠輸送」を行っていた駆逐艦8隻による第二水雷戦隊と、それを阻止するために出撃していた重巡4・軽巡1・駆逐艦6からなるアメリカ第67任務部隊との間で起きた海戦。

連合軍側の名称はタサファロング沖海戦(Battle of Tassafaronga)。

結果としては、戦闘には勝利するものの本来の目的である輸送作戦はドラム缶を放棄したこともあり失敗している。この判断をした田中少将に対する評価は後述。

 

 

●内容

第3次ソロモン海戦によってガタルカナル島とその周辺の制海・制空権を失った日本軍は「鼠輸送」(連合軍の呼称は東京急行)による輸送作戦を実行。

この輸送をいち早く察知した米海軍は、その阻止のためにカールトン・ライト少将率いる第67任務部隊(ライト部隊)をガダルカナル島沖に派遣する。

この輸送では短時間で確実に食料を日本軍陸上部隊に供給するために、洗浄したドラム缶に糧食を半分だけ詰めて密封(これでドラム缶は浮く)、これをロープで数珠つなぎにしてガダルカナル沿岸で海上に投入しロープの端を海岸の日本軍陸上部隊に渡して、ドラム缶を手繰り寄せる方法をとった。

 

輸送作戦中、アメリカ艦隊が日本艦隊を発見。レーダーを使っていち早く敵を察知・先制攻撃を仕掛けた。

物資を揚陸している最中に攻撃を受けた日本側の司令官である田中頼三少将は「揚陸やめ、全軍突撃せよ」と全艦に揚陸中の物資を投棄させ戦闘に突入。

日本軍の最新兵器であり秘密兵器であった酸素魚雷の活躍もあり米軍の重巡洋艦1隻を撃沈、3隻大破、こちらの損害は駆逐艦1隻の損失のみと大勝をおさめる。

海戦には勝ったとはいえ、目的であった輸送には失敗した日本軍は四日後の12月3日、再び田中少将指揮の下、ルンガ沖海戦の残存艦に第四駆逐隊(「嵐」「野分」)と駆逐艦「夕暮」の計10隻の駆逐艦により第二次輸送作戦を行うこととなる。

ちなみに、飢えて体力の落ちた陸上部隊の兵たちが、ドラム缶引揚の重労働に耐えられなかったこともあり、夜のうちに回収できず、米戦闘機部隊の銃撃によって大半が沈められてしまっている。

 

 

●田中少将の評価

この戦いでは日本軍に対する評価、特に田中少将の指揮に対して日本とアメリカでの評価が180°異なる

アメリカ軍は田中少将の指揮を絶賛している。

敵を十分にひきつけてからの突撃命令、その判断力と訓練された駆逐艦隊の動きを絶賛し、被害担当艦となった高波に関しては、日本軍の態勢が整う前に過早に発砲したので一方的な攻撃を受けることとなった、と批判している。

そして「田中こそ不屈の闘将である」と言って、田中少将に”redoubtable Tanaka”(不屈の猛将・田中)というあだ名をつけた。

 

反対に日本軍は、田中少将に対して非常に批判的であった。

・戦略目標である輸送作戦を放棄し、戦術的な戦闘を優先させたこと

・艦隊の隊列が日本軍伝統の”指揮官先頭”ではなく旗艦「長波」は隊列中央に配置されていて、これは司令部が逃げ腰であったこと

などが挙げられる。これが影響したのか海戦から一ヵ月後、田中少将は突如二水戦司令官を解任され以後二度と海上勤務に戻ることは無かった。

 

どちらの評価に関しても後世では違った評価もあるが(指揮官先頭は指揮官の戦死するケースもありこの点については特に海軍部内で問題視された形跡は無い、アメリカ軍の評価については結果を重視するあまり過程の分析がやや不足。など)結果よりも過程が重視される日本海軍の司令官には、気質的に向いていなかったのではないかと思われる。

不確定要素が多過ぎる「戦場」において完全を期するのは難しいという前提をもってすれば、結果をかなり重視するのは、正当な分析の仕方とも言える。

 

なお、当の田中少将は解任された件に関してその後の生涯において一切語らなかった。ただ、アメリカ側からの評価については作家半藤一利のインタビューに対して「私は突撃命令を出しただけ。後は全部部下の功績」と語っており、1969年に没している。

 

 

●参加艦艇

第一次ガ島増援部隊(田中頼三少将)

第二水雷戦隊(田中少将直卒)
警戒隊
第三一駆逐隊:駆逐艦「長波」「高波」
第1輸送隊
第一五駆逐隊:駆逐艦「黒潮」「親潮」「陽炎」
第三一駆逐隊:駆逐艦「巻波」
第2輸送隊
第二四駆逐隊:駆逐艦「江風」「涼風」

参加艦艇参照→ルンガ沖夜戦 – Wikipedia http://p.tl/uuCo

 

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